日本財団 図書館


 

この転造メネジは、従来の切削メネジがメタルフローを切断して形成されるのに対し、メタルフローを切断することなく表面を塑性変形させてメネジを形成するため、加工硬化が起こり疲労強度が向上するものである。
この技術はオネジやネジ径の小さいメネジには適用されているが、本連接棒ボルトのような大型のものには、はじめての適用である。(図45)
これらの対策により、連接棒の重量は従来の60kgから48kgと約20%軽量化された。(図46)
(重量/出力比で比較した場合、0.15kg/PSから0.09kg/PSとなり40%の軽量化となる)

 

本連接棒について、2次元および3次元FEM解析を行うとともに、静応力試験装置により、実体に燃焼最高圧力相当の荷重を与えた静応力試験を実施し、得られた応力値について比較、検討を行った。(図47〜51)
この結果、各部の応力はFEM解析値と実測値がよく一致し、その値についても実績のあるレベル内であり、材料強度の向上を図っていることから問題ないものと考えられた。(図52)
また、連接棒大端の変形量についても問題ないことを確認した。
2次元解析と3次元解析では、いずれもよい一致をみているが、より3次元解析の方が静応力試験による実測値と一致することがわかった。

 

b)320mm試験エンジン
従来の連接棒が第1、第2ステージの運転に耐えられるか、強度上余裕のある部分の削減が可能かどうかについて構造面、材料面から検討を行った。FEM解析の結果、従来の連接棒で第1ステージの運転を行った場合、連接棒大端の変形が大きくなり、剛性が不足していることがわかった。
また、セレーション部においても開口やフレッチング発生の恐れがあり、強度向上が必要なことがわかった。
そこで、材質をSCM材からSNCM材に変更するとともに、連接棒大端の形状を変更して剛性を高めた。(図53)
260mm試験エンジンで採用した転造メネジおよび連接棒本体へのショットピーニング施工も採用した。(図54)
改良後の連接棒について、FEM解析および静応力試験装置により、実体に燃焼最高圧力相当の荷重を与えた静応力試験を実施し、得られた応力値について比較、検討を行った。(図55〜58)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION